取材速報:クリーンアップ神山(担当:澤登委員)

 12月9日(日)徳島県・神山町「クリーンアップ神山」
神山町は、徳島市の中心から車で約40分の山あいの町です。平成9年に、徳島県のプロジェクトである「国際文化村」を、この地区に作るという構想が持ち上がりました。この話を受けて、町内の有志で組織していた「神山町国際交流協会」は、まず地域住民の方で構想を練り上げ、県に提案していこうと市民活動を開始しました。「国際文化村」を作るには、まず「クリーンでグリーンな」環境づくりが必要との思いから、ボランティア参加の「道の美化・保全」づくりを企画したのです。
この企画から生まれたのが「クリーンアップ神山」です。この活動がどのよう仕組みになっているのか、ボランティアの清掃活動日にあわせて神山町を訪れてみました。







神山町で日本初のアドプト・プログラム


神山町で日本初のアドプト・プログラム  「クリーンアップ神山」は、日本で初めて採用されたアドプト・プログラムです。アドプトとは養子にするという意味で、自治体が建設した道路や公園を地域住民や企業が「里親」となり、「養子」である道路の清掃や美化活動を定期的に行うというものです。もともとはアメリカ生まれの地域活動で、1985年テキサス州で開始され、現在は全米の48州で導入されて約130万人がボランティアとして参加しているそうです。
 「クリーンアップ神山」では、ボランティア団体が担当する道路区間は最低2kmで、現在、神山町青年会や郵便局、市民ボランティアなど16団体・企業が参加して、国県道29kmを2ヶ月に1回の割合で清掃しています。
 清掃活動は、道路およびその周辺の紙くず、空カン、空ビン等の散乱物の除去が原則で、活動主体の判断により草刈、花の植栽、樹木剪定作業が行われています。





名前入りの看板設置と道路法の問題


名前入りの看板設置と道路法の問題  「クリーンアップ神山」の活動は、最初から順風満帆だったわけではありません。この活動の大きな特徴は、各ボランティア団体が受け持つ道路区間の起点に、団体名等を明記した看板を設置し、ボランティアによる社会貢献活動をドライバーや通行者に周知すると同時に、ボランティアにも責任を持ってもらおうとしたことです。
 ところが「クリーンアップ神山」を開始した当初、この看板設置が問題となりました。神山町国際交流協会は、平成9年に看板の設置を徳島県に提案したのですが、企業・団体名の入った看板設置は道路法に抵触するとの理由で許可されなかったのです。
 翌平成10年、神山町国際交流協会は、それに対してある策を考えました。4団体が、民有地(?)に7基の看板を設置する方法で、とにかく活動を開始したのです。マスコミ等で取りあげられた「クリーンアップ神山」は、次第に参加団体も増え、清掃する道路区間も順調に拡大していきましたが、この時点では、まだ行政の承諾を得た正式な活動にはなっていませんでした。
 ここで、神山町国際交流協会は、事前に仕掛けていた策を行使することにしました。なんと当初設置した7基の看板のうち、3基は意図的に民有地ではなく道路区域に立てた違法看板だったのです。その事実をメディアに漏らして記事にしたのです。
 同じ頃、吉野川では企業名入りの看板を設置して河川の清掃活動が始まろうとしていました。「なぜ、河川区域内で許されて、神山の道路ではだめなのか」という議論が巻き起こり、とうとう行政も営利目的の看板ではないとの判断を示してくれて、看板設置の許可を取得することができたのです。こうして県の正式な事業としてスタートを切ったのが、平成11年10月のことで、以来、行政の支援・協力をいただいて発展してきました。
 市民活動を推進する上で、さまざまなバリアーに直面することもあると思います。しかし、市民が一体となってこのバリアーを乗り越えていくことで、人々のつながりは幾重にも広がり、より強化され、まさしく市民によるまちづくりが展開されるのです。





ボランティア参加と環境問題の意識アップ


ボランティア参加と環境問題の意識アップ  神山町を訪問したときは、神山ルネッサンスと四国電力が担当する道路区間の清掃活動日でした。作業時間は1時間30分から2時間程度で、ゴミの量としてはコンビニ弁当の空容器やビン・カンなどが目立つそうですが、拾うのに一番苦労するのはタバコの吸殻だそうです。活動を始めた頃は、集めたゴミの量がトラック2台分にもなったそうですが、半年後には半分くらいに減り、現在はかなり少なくなったということです。道路がきれいになると、捨てる方も気兼ねして捨てにくくなったということでしょうか。
 行政もアドプト・プログラムを支援するために、ゴミ袋や紙バサミを支給しています。また、安全対策として、活動参加者には現在ボランティア保険を掛けていますが、今後ドライバーからの視認性を高めるために蛍光ジャンパーの支給も検討しているそうです。
 ボランティア活動の効果としては、地域住民の環境問題意識が高められることが大きいのですが、道路の清掃費用(税金)が節約されることも見逃せません。参加していたボランティアも、最初はある程度義務的に参加して活動していたが、続ける間に自己満足を覚え、次第に自主的なものとなったという話を聞きました。





ネットワークづくりと今後の発展


ネットワークづくりと今後の発展  「クリーンアップ神山」に参加している団体が集まって「神山会議」という連絡協議会を組織しています。そこで話されることは、この活動を2〜3年ではなく、50〜100年という長期的視点で取り組んでいこうということだそうです。「ゴミを拾うだけではなく、捨てない人を育てよう」との理念のもと、総合学習の時間等を活用して学校現場で子どもたちに訴えかけていく方策を検討しているそうです。
 また、参加してもらう形態も「人を出せる団体は人を、物を出せる団体は物を、お金を出せる団体はお金を」という柔軟な考え方で、強制することなくネットワークの拡大を計画しています。
取材を通して印象的だったのは、神山町でさまざまな市民活動が展開されるのは、そこに基盤となる「ヒューマンネットワーク」があるということです。「クリーンアップ神山」もそこから生まれた活動のひとつなのです。神山町には何人かのキーパーソンがいて、さまざまな活動に参加する人々の気持ちを織りなし、時代や地域、立場を超えたつながりを築きながらまちづくりを進めているのです。
全国の自治体から、道路清掃に関する問合せや視察が殺到しているそうです。清潔で美しい町づくりを通じて、地域社会の連帯感が生まれ、市民/行政の協働がそれをバックアップするという構図になっている「クリーンアップ神山」は、「道の美化・保存」の視点から重要なモデル事例といえます。。


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